ステッキについて

一本のステッキの物語

　明治時代、外国文化を学ぶ為に派遣された、使節団によってステッキ洋傘文化が始まりました。明治の皇族政財界人を始め華やかな鹿鳴館時代のパーティーでは、女性が持つ細身の品や、柄に宝飾・牙細工に飾られたおしゃれなステッキがすでにありました。

ステッキ・洋傘の文化が一般の方々に普及し、日本伝統工芸の手技を用いた金銀細工・竹製・うるしさらに蒔絵の施された作品が海外の万国博などに出品され、西欧の方々を魅了したと言われています。

日本独自の”和魂洋才期”です。明治中頃にはすでにステッキの専門店も生まれ竹製品を中心に小さいながら産業として確立しました。

大正・昭和に至りロマン主義の流行と相まって文土・壮士・サラリーマン、学生青年に至るまで、ステッキを持つ文化が拡がりました。更に女性進出と共に”モガ”と呼ばれおしゃれな装いと共にステッキを持つ女性の姿が写真にも多く残されています。

この時期が一番ステッキを持つ文化が華開いた時代でもあります。

　その後ステッキの流行は戦時色の強まりと共に衰退期に入り特に敗戦後には時代背景から精神喪失期でもあり一部の上流階級の方々が持つこととなりました。外交官の白州次郎や時の総理大臣吉田茂の和服に葉巻と和竹のステッキは特に印象に残ります。昨今ではステッキを突いていると足が悪いのか？と思われがちの状況です。

今日高齢社会を迎え町中で見かけるステッキのほとんどは、アルミやグラスファイバーの大量生産された実用品がほとんどで本来のステッキの既念が大きく変わってしまった事は真に残念です。

本物の木との出会い”一木一杖”使えば使うほど味わい愛着が深まり装いへのアイテム、人生の良き伴侶としてのステッキ文化をもう一度再考してみてはいかがでしょうか。

ここでラカッポは提案します。”ころばぬ先のつえ”を携へて、おしゃれで楽しく健康で人生を前へ前へと闊歩して下さい。”1本のステッキの物語”は古今東西の歴史文化がたっぷり凝縮された逸品です。

どんなステッキを選ぶか、なぜそれを選ぶか『自分なりの物語』を探す楽しみの参考にしてください。

ハンドル／黒柿　　環／金　棒／ブラジリアンローズ　石突き／象牙

いろいろな、ハンドル材のデザイン・棒・石突の組み合わせ例

木魂の杖の物語　スタイリッシュな逸品

ステッキの王道（曲げ最難度品）

大曲り　中曲り　小曲り

素材・ハンドル・棒

樹齢の積んだ年輪（300年以上）の１本の原木から木取・製材をしますと杢目・柾目に大別されます。この中から、荷酷な立地条件・土質・気候条件等が加味され自然の中で偶然に現れた貴重で鑑賞価値が高い材を選び抜いてハンドル・棒を製作します。素材そのものの魅力を感じる事ができるよう、本来の持つ挽き肌の色彩と杢目の美しさが折りなすバランスの妙味を意識して制作しております。

基本はすべて貴重な世界中の銘木をベースに使用し、細部までとことんこだわった上質なステッキ作りを目指します。フルオーダーなのであらゆる材の取り合わせが可能です。スタンダードな品から遊び心を盛り込んだ銀細工・宝飾仕立ても製作しています。